関西私立校インタビュー 西大和学園 第2回｜受験情報サイト インターエデュ・ドットコム

難関大学に高い合格者数を誇り、創立から短期間で全国屈指の進学校となった西大和学園中学校・高等学校。独自の教育を実践し、科学的洞察力、国際性、利他の精神といった、リーダーとして不可欠な資質を育む教育について、上村校長に話を伺った。

インターエデュ：最近の関西エリアでは大阪府が教育改革を進める等、様々な動きがあったかと思いますがいかがでしょうか。

上村校長：そうですね。公立学校が活性化していますので「関西エリアが熱い！」という状況になることは、我々としては歓迎すべきところではあります。大阪府からもたくさんの生徒が来て頂いていますし、互いに切磋琢磨できますね。
ただそうなりますと、公立学校と私立学校で、何がどう違うのかということを保護者の皆さま方に十分ご理解頂けることが必要になってくるのではないでしょうか。
私学には独自の教育方針があり、それに基づいて教育しておりますが、もっと明確にこの部分を大切にしていくのだと。その学校が、どういった子供を育てて行くのかと、そのあたりを明確にする必要がありますね。

インターエデュ：御校の受験状況・傾向はいかがでしょうか。 また、進路指導での取り組みについて教えてください。

上村校長：難関医学部にこだわる保護者の方の思考が見てとれますね。
医学部だったら地方も視野に入れて現役で進学してほしいという想いがありますが、一浪してでも京都大学医学部進学を目指すという子どもたちは妥協しないですよね。そこは、無理強いはせずに生徒に任せてあります。結局、妥協して現役入学したとしても、モチベーションが低く、後で苦労しますから。

結局、大学入試がゴールになると、生徒・保護者・学校にとってこれほど空しいものはありません。確かに子どもたちが人生を描く上で、大学進学は必要です。それが自分たちの夢に近づく一歩だと思います。
だけど、そこからがスタートなのです。大学合格がゴールではなく、スタートや通過点だということを子供たちにしっかり理解させたいのです。

スーパー・サイエンス・ハイスクール(以下、SSH)は、昨年度で指定期間が終了だったのですが、継続することにしました。やはり生徒のみならず多くの方から期待して頂いている事なので、再指定の申請を行い2012年から5年取得しました。
この10年間の成果は、奈良先端科学技術大学院大学や京都大学との連携を行いながら進めてまいりましたので、効果も出ているのではないかと思っています。
大学の研究室を訪問し、大学でどういう研究をしているのかなど学ぶ機会があるので、自分の進路を考えた時、将来の生きる道を考えた時にこの大学だ、と。場合によっては、この先生に教えてもらいたいと、身近に感じることもあるでしょう。
それは進路指導上、大きな効果があったことではないでしょうか。

やはり子どもたちにとって、受験勉強は面白くないと思うのです。けれど、大学で研究している事の一端を高校生レベルでも理解しようとして、SSHで学んだことが大学での研究につながっていることに気が付いた時に、世界が広がり、モチベーションアップになります。

また、卒業生の存在は大きいですね。SSHを経験して大学に進学した卒業生は、本校のティーチングアシスタントとして土曜日や夏休みに30名ほど学校に来てもらっています。

教員が話すよりも、卒業生が語ったほうが教育効果は高いですね。このつながりこそが、西大和学園が大事にしてきたことでもあります。

後輩の役に立ちたいと願う卒業生も多く、継続的に講義をしてくれる卒業生も多いですよ。大学ではこう感じた、社会に出たらこう感じたなど、振り返りを交えながら話しをしてくれるので、生徒たちには、かなり良い刺激になっていると思います。