◆洛星中学・高等学校インタビュー 第3回
inter-edu's eye
「キリスト教カトリック精神に基づく“全人教育”」を目標に掲げ、創立60周年を迎えた男子校、洛星中学・高等学校。「身体と心の居場所」を作ることを重視し、授業、クラブ活動、行事などさまざまな場面で、生徒一人ひとりが活躍できるステージを用意し、生徒の自主性をはぐくんでいる。また、中高一貫ならではの特色ある教育や進路指導でこれまでに高い進学実績を残している。同校ならではの生徒の自主性を育成するプログラムはどのようなものなのか。また、特色ある教育とは何か。阿南孝也校長に話をうかがった。
阿南 孝也 校長 | |
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1954年7月28日 京都市生 1973年 大阪教育大学附属高等学校天王寺校舎卒 1977年 京都大学工学部資源工学科卒 1980年 同大学院修士課程修了 大阪府の公立中学校を経て 1982年 洛星中学・高等学校教諭(数学科) 2004年 同校校長就任 現在に至る |
【第3回】中学受験はゴールではない 入学してからの楽しさを目標に
エデュ:教科教育についてはどのような特色がありますか?
阿南校長: 学校は、まず何よりも授業が大切ですから、授業を中心に自分の力で勉強していくことが一番の基本です。中高一貫6年間を2年ごとに基礎期・充実期・発展期に分けて、生徒たちの成長に応じた取り組みが行えるよう配慮しています。
中1・2年に当たる「基礎期」では、「自分で学習する」ということを何よりも大事にしているので、特に中1の夏休みまでは、学校に慣れるという目的からクラブ活動の時間を短くするなど制限しています。学習習慣を身につけることを徹底して指導しています。
中3・高1の「充実期」では、基礎のマスターはもちろんですが、理科で言えば「物理」「生物」などの4科目を学び、幅広く知識を深めていきます。そして、高2・3の「発展期」では、それぞれの進路に向かって学習をしていきます。
エデュ:塾に通わずに東大・京大を目指す生徒さんもいるそうですが、こうした特色が高い進学実績につながっているのでしょうか?
阿南校長:
もちろん、大きな特色として3つに分けた指導があるわけですが、そのほかにも各教科の大事な場面で少人数指導を行っています。
たとえば、中学2年の古典文法や中学3年の数学など、きめ細かく指導をした方が良い場面では、少人数で指導していきます。
また、建学の精神は変わらないのですが、世の中の変化に応じて指導を変えていかなければならない部分もあります。昔なら自主的に学習する生徒が多かったのですが、最近では指示されたら学習する生徒が増えてきました。その変化に応じて、課題や宿題を出して指導しています。宿題を忘れれば、放課後に補習しますし、夏休みにも補習を行っています。「洛星は自由だ」と言われますが、行事などの生徒たちの自主的な活動に関しては自由ですが、学習に関しては「ご自由にどうぞ」と放っておくことはなく、きめ細かに指導しています。
エデュ:進路指導について教えてください。
阿南校長:実績を上げるために特定の大学、学科をすすめるということはないです。生徒の自主性が基本ですが、それだけでは見えてこないものもあるので、学校側としましては、なるべく多くの情報を提供して、選択肢を増やすようにしています。地元の京都大学の先生を呼んで連続講義を行い、大学の講義について知ってもらう機会や、実際に見学に行き話を聞く機会を増やしています。
エデュ:中学受験を考えている保護者にアドバイスをお願いします。
阿南校長:
常々「人の痛みに気づいてほしい」「学ぶ楽しさを感じてほしい」と話しています。この学問の面白さは、中学受験の勉強でも触れることができると思います。算数の文章題でも解き方や考え方が分かったとき、気づいたとき、学ぶ楽しさを知るのではないでしょうか。問題に取り組んでいく中で発見があり、それが楽しさにつながる。遊びでは得られない面白さがあると思います。
中学受験はすべてではないし、ゴールでもない。入学してからの楽しさをぜひお子様にも伝えてほしいと思います。また、ぜひお子様をほめてあげてくださいね。たとえ、50点でも前回より伸びたのならほめてあげてください。
ありがとうございました!
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