◆四天王寺高等学校中学校インタビュー 第1回
inter-edu's eye
今年91周年を迎えた四天王寺高等学校中学校は、大正11年に聖徳太子1300年御忌記念事業として、天王寺高等女学校が創設されたのに始まる。『聖徳太子の和のご精神を礎とする信念ある女性の育成をはかる』という教育方針のもと、世界に貢献できる女性リーダーの育成を目標とする、関西の私立女子校の中でも有数の進学校だ。今回は四天王寺高等学校中学校・奥田 行信校長に四天王寺高等学校中学校の授業や私学の魅力について語ってもらった。
奥田 行信 校長 | |
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大学卒業後、一般企業を経て、四天王寺高等学校中学校に奉職 平成20年4月より、四天王寺高等学校中学校校長 |
【第1回】私学の魅力と四天王寺高等学校中学校の教育理念
インターエデュ(以下、エデュ):奥田校長の考える私学の魅力とは一体何でしょうか。
奥田校長:私学の魅力については、次の三点があげられるのではないでしょうか。
まず、学校独自の「建学の精神=心の教育」であります。私学はそれぞれの建学の精神によって支えられた教育を行っております。また、精神的バックボーンに宗教を位置づけている私学も多くみられます。
私共の学園は仏教系の学校でございます。仏教とはお釈迦さまの御教えで、経典『ダンマ・パダ』や『スッタニパータ』では、「今を今としてしっかり生きなさい。前向きに努力しなさい。」と教えています。仏教は本当に力強い教えだといえます。また、お釈迦さまは、私たちに見返りを求めない心も説かれました。
「己を忘れ、他を利するは慈悲の極みなり」という大変有名な一節がありますが、その意味は「自分のことを忘れ、人のために尽くすことが慈悲である」ということであり、仏教におけるこの生きるために必要な愛こそが慈悲の心であります。
私ども四天王寺高等学校・中学校も慈悲の心や感謝の心の育成につとめるとともに、「聖徳太子さまの和のご精神を礎とする信念ある女性の育成」をはかることが、信仰を根幹としている本校の教育方針でございます。
本校では毎朝朝拝(宗教行事)を行っております。
始めに仏教聖歌を歌い、般若心経を読誦し、一分間の瞑想、学園訓を斉唱致します。
学園訓は聖徳太子様の十七条憲法を基に作られたもので、「一、和を以て貴しと為す」「一、四恩に報いよ。四恩とは国の恩・父母の恩・世間の恩・仏の恩なり」「一、誠実を旨とせよ」「一、礼儀を正しくせよ」「一、健康を重んぜよ」と毎朝、感謝をこめて斉唱いたします。また、週一時間仏教の授業を行うとともに、仏教講演会は年間2回行っております。
次に挙げられる私学の魅力の一つとして、「単性教育=男女別学」の私学と共学の私学があるということです。
本校は女子のみの単性教育の学校です。ここで、ある番組で放送されていた内容を紹介させていただきます。
アメリカで新たな男女区別がはじまっていることを紹介するもので、教育の分野でも、義務教育で男女別授業を行う学校が増えているとのことです。成長期には特に男女の差(性差)が著しくなり、男女の性に合った教育をしようという試みがなされていることなどを紹介した番組でした。
私も保護者の方とお話をさせていただいたとき、本校をどうして選ばれたかその理由をお聞きしますと、多くの保護者の方は、思春期において女の子と男の子は成熟のスピードが異なること、男性がいないからこそ、女性が自主性・主体性を発揮できることを言われます。
また、本校の卒業生の方では、「男性の目を気にせず、伸び伸びとした6年間を過ごすことができた。」「生涯付き合える友人ができた。」また「母親、祖母の出身校であり、このような女子校の魅力をよく知って勧められた。」などを言われました。
最後に、「中高一貫教育=六ヵ年一貫教育」も私学の大きな魅力として挙げられると思います。
私の考える中高一貫の最大のメリットは、6年間を一つの教育年限として、自由度の高いカリキュラム編成のもと独自の教育方針を打ち出すことができるという点にあります。つまり、高校受験によって分断されることなく6年間を一つの流れの中で、生徒の皆さんの才能を引き出し、育てることが可能となります。
生徒の皆さんは、それぞれ個性や多くの才能、無限の可能性がありますが、わたしたち教師は、それぞれの生徒の皆さんのその個性・才能・可能性を見つけ、伸ばしていけるのです。
また生徒の皆さんにとっては、分断される高校受験がないことで時間に追われることなく、大いにクラブ活動に励むことが出来たり、長期の旅行をして見聞を広めたり、文学の大作を読み、人生についても考えることができます。生徒の皆さんにとって、疾風怒濤の時代といわれる青年期を、意義ある歩み方が出来るのが中高一貫教育だと考えております。
エデュ:四天王寺高等学校中学校の教育理念を教えてください。
奥田校長:本校は、「倭国(わこく)の教主(きょうしゅ)」つまり日本の精神的支柱と称され、今尚多くの人々から慕われ、敬われている聖徳太子さまが創建されました和宗総本山四天王寺が設置母体の学園でございます。
四天王寺は、聖徳太子さまのご精神を継承しておりまして、敬田院(きょうでんいん)・療病院(りょうびょういん)・施薬院(せやくいん)・悲田院(ひでんいん)の四カ院の制度を今も受け継いでおります。まず、療病院・施薬院は医療事業であります。次に悲田院はご老人の方や孤児の方に対する社会福祉事業であります。そして敬田院は学校教育関係の事業です。
本校は、大正十一年に創設され、今年九十一年目を迎える学校ですが、先ほど申しました敬田院事業から数えますと千四百有余年の歴史と伝統を今も受け継いでいる学園でございます。
聖徳太子さまは、日本ではじめての成文法である十七条憲法を制定されました。その冒頭の第一条で「和を以て貴しとなす」とあります。これは、身近な人間関係はもとより、人として生きるべき基本としての、和合の精神を私達にお説きになられました。
簡単に申しますと、わたしたちに「すべての人を大切にし、尊敬し、慈しみの心を持ちなさい。」ということになります。本校で学ぶ生徒の皆さんには、聖徳太子さまの御教(みおし)えを受け継がれ、優しく・真に心の強い・信念のあるすばらしい人に成長していただきたいと願っております。
また、聖徳太子さまは「人、尤(はなはだ)悪しきは鮮(すくな)し。能(よ)く教ふれば従う。」とお述べになられました。つまり、「人は、充分に教え、学ばせ、導けば、必ず立派な人になる。」という教育の原点をお説きになられたわけです。私たち教師はこのお言葉を大切にし、教育に日々邁進いたしております。
⇒第2回「四天王寺高等学校中学校の魅力」
四天王寺高等学校中学校 | |
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