◆東大寺学園インタビュー 第2回
inter-edu's eye
豊かな自然に囲まれた東大寺学園。かつては東大寺の境内に校舎があり、今もお寺の雰囲気を脈々と受け継いでいる。全国屈指の進学校でありながら『文武両道』を実践する東大寺学園の魅力とは?生徒の自主性を重んじる自由な校風、東大寺創建の精神にもとづいた教育内容にインターエデュが迫った。
矢和多 忠一 校長 | |
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昭和20年奈良市に生まれ、東大寺学園中学校の前身である菁々中学に入学、同高校を卒業する。昭和45年奈良県公立学校教員に採用、県立高校教諭を経て、 同62年奈良県教育委員会学校教育課指導主事となる。平成9年学校教育課長、同10年教職員課長を経て、同14年から6年間奈良県教育長を務める。平成 20年東大寺学園中・高等学校長に就任し現在に至る。著書に「教育改革 進行中なら」、編著として「奈良の人権教育」がある。 | |
清水 優 教頭 | |
昭和33年大阪市生まれ。昭和57年大阪府立高校国語教員に採用、平成13年東大寺学園に移った。平成21年より進路指導部長を務め、今年度教頭に就任し現在に至る。 |
【第2回】私学の魅力と文武両道
インターエデュ(以下、エデュ):ここ数年で、私立学校を取り巻く環境も変化したと思いますが、御校にとってはどのように状況が変化しましたか?また私学ならではの魅力を教えて下さい。
校長になって5年目ですが、八宗兼学の精神(※日本の仏教の8つの宗派の教義を併せて学ぶことを指す。また、物事を良く学び、理解しているという意味もある)を持つ日本の総合学校、つまり総合学問ができる初めての地域は関西だと思っています。
高学歴の割合が高く、学問に対しての意識も高いので、歴史と共に良い学校に入って、良い会社に入って……といった意識レベルは非常に高いです。
公立高校の無償化などで国公立への流れがありますが、やはり私学には『建学の精神』がありますからね。
エデュ:進学実績について教えてください。
進学実績が大事なのは承知の上ですが、データや数字にはこだわっていません。何よりもまず合格できなかった生徒の存在が大事だと思っています。生徒一人一人の顔が浮かぶ教員にとっては、○○君は合格したけれども□□君は不本意な結果だったということが気がかりなのであって、××大学に●●人が合格したという数字にはあまり関心はないということです。
医学部の合格実績が非常に高いですが、日本全体で考えると医学部だけではなく、幅広く活躍する人材を育てて行きたいと思っています。
エデュ:学習面以外での学校の魅力はありますか?
当校は『文武両道』を実践していると思います。
部活に関して、中学1年生は127%の加入率です。複数のクラブに所属しているわけです。運動部は11あり、文化部は14あります。さらに17の同好会があるので、中学1年生はのべ220名以上。高校1年生ではのべ300名以上が部活動を行っています。中学生全体では、7割ほどが運動部で活動し、高校2年生の加入率も7割にのぼります。
学校行事に表彰状伝達というものがあります。
さまざまな活動の中で、活躍した生徒を始業式と終業式で表彰します。前年は、枚数にして185枚の表彰状伝達を行いました。活動を評価することで、生徒のやる気や意欲を引き出しています。
部活の縦のつながりは非常に大きく、東大・京大に進学した身近な先輩が、後輩の指導の為に帰ってきてくれます。先生の話よりも東大・京大の先輩の話のほうが興味があり、面白いですからね。その流れがあるので、結果として難関校へのチャレンジ意欲が高まるのではないでしょうか。
また、中学一年生から行っている臨海学習は大きな行事です。
生徒170名を、先生30数名、OB10数名とライフセーバーをあわせた約60名のスタッフで2キロの遠泳をさせています。2キロ泳いだ後の『やりきった』という達成感・充実感はすごいですね。こういったやりきる体験と喜びを生徒に見つけてもらいたいです。
⇒第3回「東大寺学園が目指すべき学校像と受験生へのメッセージ」
東大寺学園中・高等学校 | |
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